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多希の後に買った久住がはにかみながら「これでペアルックですね」なんて言うから、多希の頬は熱を持った。
ふい、と多希がそっぽを向くと、久住は訂正する。
「ペアルックって古いですか? 今って何と言うんでしょう。双子コーデ?」
「……知らないです」
生真面目だけどどこかずれている男に、多希は小さく溜め息を吐いた。
夕飯の材料をモールの1階で買い、久住の運転する車で帰路についた。
久しぶりの買い物でつい散財してしまい、部屋に荷物を運び終える頃にはへとへとだった。
荷解きは明日にすることにし、多希と久住は軽く摘めるものを夕飯代わりに摂ることにした。
多希が週末通いをするうちに、久住の家には調味料類が充実してきている。
今晩は記念すべき同棲一日目。
多希の得意分野は実家と同じ洋食だが、久住に飽きられないように、最近は和食もつくるようになった。
溶き卵やパン粉を準備していると、久住がやってきて「手伝います」と、多希に声をかけた。
「何をつくるんですか」
「串かつが食べたいな、って思って。久住さんのお家に数回しか使ってないフライヤーが……」
手元で作業をしながら説明していると、ふいに久住の顔が近付いてきた。
そのまま唇同士が触れる。
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