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「休日にすみません。車まで。ありがとうございました」
「暇してたので大丈夫ですよ」
今日から久住と一緒の家に帰り、同棲がスタートするのだ。
多希の心は浮かれていた。
久住の告白に了承したその日に、同棲の話は何となく出ていたのだが、多希のほうが踏ん切りがつかずにいた。
一緒に住むというのは、それなりに覚悟がいることだと思う。心理的にも労力的にも。
週末通いの回数を重ねる度に、その話題を出されるものだから、多希はついに絆されてしまった。
「せっかくだから、うちに荷物を置いたらそのままデートに行きませんか」
「デート……」
「多希さんの食器とかタオルとか。消耗品はたくさんあってもいいと思うので、買いに行きましょう」
多希は久住の提案に頷いた。
荷物を運び終えたらちょうど昼時で、ショッピングモールは混み合っていた。
店で腹ごしらえをした後、二人は日用品雑貨の揃う店舗を見て回った。
グラタン皿やサラダボウルなど、久住の家になかったものを中心に購入していく。
「お茶碗とお箸、あとコップも。お揃いにしたくないですか?」
「そんなに買って……今使ってるものもあるのに」
「多希さんと一緒に住むから、俺はお揃いにしたいです」
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