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お揃いのグラタン皿から始まり、久住は普段使いする食器までペアのものを買った。
買い過ぎな気もするが、ペアセットという響きに、多希の心は弾む。
一通り新住居に必要なものを買い揃えた後、久住が寝具を見たいと言い出した。
「ベッドも欲しいですね。二人寝られるくらいの」
「……それ。今日買うんですか」
「実物を見て検討します」
久住の家へ泊まる日は、ベッドか敷き布団か。どちらかで別々に眠っている。
抱き合った日はそのまま寝落ちてしまい、同じベッドで目覚める日もあるが……とにかく、一人用では窮屈なのだ。
かといって、多希の部屋と久住の使っているリビングに二つ置けるほどのスペースの余裕はない。
久住は真剣にパンフレットと現物を見比べている。
「これいいですね。ソファーベッド。多希さん、テレビ見ながら寝落ちするタイプだし、ちょうどいいと思います」
「まあ……そうですね」
久住の言う通り、週末で出掛ける予定のない日は、家で映画を見たりしてくつろいでいるのだが、いつの間にか久住の肩に寄りかかっている。
「警戒心なさ過ぎです」と、久住に少し困った顔で言われながら、多希は起こしてもらうのだ。
久住はパンフレットをいくつか手に取り、ついでに替え用のシーツをカゴに入れた。二つ……三つ、四つと。
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