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「こんなに必要ですか?」
「だって多希さんいつも潮吹くじゃないですか。一人暮らしのときよりも洗濯の頻度は増えましたし……っ」
普通の会話に織り交ぜられた、自身の痴態に気付くのに数秒遅れた。
多希は久住の腕を掴み、ぐぐっと力を込める。
「た、多希さん……」
「金的じゃなかっただけましだと思ってください」
──あんなふうになるのは……久住さんだけだし。
規格外の大きさと持久力で、翌日には長距離マラソンをした後みたいに、筋肉と節々が悲鳴を上げる。
そう、久住は規格外なのだ。
それを「多希さんが汚すから」なんて、責任転嫁されれば怒るなと言われても無理がある。
そもそも、久住以外では、あんなふうに潮を吹いたりなんか……。
昼間からするべきではない考えごとを、多希は一旦頭から振り払った。
炬燵とソファーが一体型になっているテーブルなのかベッドなのかよく分からない家具も展示されていて、久住と多希はゆっくりとインテリアを見回った。
今の住居は少し手狭で、いつかは久住とともにもう少し広い物件を探す予定なのだが、まだ先になりそうだ。
その後は多希がセーターと冬用のコートを新調し、久住も合わせて同じようなシルエットのものを購入した。
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