Lesson.1

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──久住さんもすごくやる気だし……頑張らないと。 十六時からの講義に久住も参加するため、多希は男性のロッカー部屋へ案内する。 「久住様。今日、エプロンは持って来られましたか?」 「……必要でしたか? すみません。持ってきてなくて」 体験講義の持ち物の欄に書いてあったのだが、恐らく見落としてしまったのだろう。 生徒が忘れてしまったときのために、貸し出し用は何着かあったはずだ。 「いえいえ。初回ですし、今日はうちに置いてある分から貸し出しますね。お探ししますので、少しお待ちください」 久住に言い残し、多希は備品が置かれているスタッフルームへ入る。 女性用はサイズも数も一通り揃えてあるのだが、男性用のエプロンが見当たらない。 事務所のある階へ下り、多希は他の講師に尋ねた。 「男性用のエプロンって、備品室にありませんでしたか?」 「男性用? どうだったかなぁ……昔は置いてたけど、男の生徒さん少ないから処分しちゃったんだっけ。多分」 「……そうですか。ありがとうございます」 久住を待たせているため、多希は一度ロッカー部屋へ戻ることにした。 ──どうしよう……貸し出すって言ってしまったし……。
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