Lesson.1

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──久住さんと付き合った人は、大変そうだな……。 テレビの音量やリモコンの位置まで、マイルールが敷かれていそうだ。 持ち帰り用の容器へ移すのにも苦戦していたため、多希は手伝ってやる。 一挙一動を羨望の眼差しで見つめられていることに気付き、多希の顔は熱くなる。 「由衣濱先生。本日はありがとうございました。至らない点がありましたら、何でも仰ってください」 「特には……大丈夫ですが。あ、包丁の扱い方はもう少し慣れてもらったほうが、いいかもしれません」 「はい。復習しておきます」 ──堅い。 久住は手帳にボールペンを滑らせながら答えた。 久住の向上心は素晴らしいが、最初から全力で飛ばした結果、空振って反転してしまわないかが気がかりだ。 健康診断書が散々な結果だったから、久住が躍起になる理由も分かるが……。 ──せっかくだし、つくるのも食べるのも楽しんでもらわないと。 多希の心には、使命感のようなものが燃えていた。
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