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久住が自分のスマホを取り出し、多希に料理の写真を見せてくれる。
メインは脂質の少ない肉や魚がメインで、副菜や小鉢の種類も多い。
「由衣濱先生に何かアドバイスをいただければ。奇譚ない意見をお聞かせください。……あ、もちろん、相談料はお支払いします」
「いえいえ、お金はいただきませんから。すごいじゃないですか。どれも美味しそうです」
「褒めていただいて……光栄です。サラダなんかはスーパーで買って楽することはあるんですけど」
「俺も一人暮らしなので、カット野菜をよく使っていますよ」
久住は安心したような顔になる。
親元を離れたばかりの大学生みたいで、何だか微笑ましい。
教室に通い始めたばかり……自炊の経験もほとんどゼロだった初期に比べれば、目覚ましい進歩だ。
多希が受け持つ生徒は、料理に対して苦手意識がなく、共通の趣味や習い事として通っている女性がほとんどだ。
実際にAllegroはそういった層をターゲットにしている。
初心者に教えることは普段ないため、久住の成長が嬉しい。
「一人暮らしなんですね」
「え、ええ」
「由衣濱先生は美人だから彼女いそうですよね」
「……い、いや」
「って、他の生徒さんが噂していました」
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