Lesson.1

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休憩を挟んで三回。 ホテル代は割り勘でも、誰かを買うよりはずっと手頃で簡単だった。 プライベートの話も一切しなかったし、今夜の相手は当たりだ。 身体を動かした後、そのまま眠りに落ちるときほど、気持ちのいい時間はない。 多希は重い瞼を持ち上げて、部屋にいる男の様子を窺った。 「え、何これ。頼んでないけど」 「あ、お腹空いたから俺が頼んだの。食べて食べて」 勝手にホテルに頼んだらしい軽食が二つ、ベッド向かいのテーブルに並べられている。 安っぽいサラダとパスタ。 職業柄、多希はレトルト食品は一切食べない。 便利なのは納得するが、好みの味がないからだ。 「俺、気が利くでしょ?」と鼻にかける男に、多希はお礼ではなく溜め息を溢した。 ──セックスはよかったのにな。 多希はスマホに来ている連絡を捌くふりをしながら、アプリを操作して目の前の男をブロックリストに追加した。 「由衣濱、っていうの?」 「……なに、勝手に見た?」 「ごめんって。スマホ鳴ってて起きたら、画面光ってるの見えちゃったから」 多希のスマホにはパスコードのロックがついている。 さすがに中までは弄れないだろうから、男の説明で間違いないのだろう。 確信的なのに、うっかり見えた事故だったと装っているのが気に食わない。
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