Lesson.4

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──だって、なんか……美味しそうって顔してるから。 多希がお願いをするのを聞きたいというよりは、飼い主の「よし」を健気に待っている犬のようだ。 久住は空いた手で、多希の手を捉えた。 指の隙間を埋め合わせるように恋人繋ぎにされ、手のひらが重なる感触に、心臓がとくんと高鳴る。 料理教室通いの賜物なのか、絆創膏で処置された傷はもう見当たらない。 不器用だと言って笑っていた大きな手が、くすぐったさで逃れようとする多希のことを、離さなかった。 久住は息を溢して笑うと、さっきよりも深くまで頭を垂れた。 それと同時に、多希のものが温かく濡れたものに包まれる。 「……あっ! あぁ、あ……ん……!」 全身が蕩け出してしまいそうな愉悦が、身体の隅まで一気に駆け上がった。 多希のペニスに手を添えた久住が、熱い舌でそれを賢明に舐め上げている。 あまりにも煽情的な光景にずっと視線を合わせてはおけず、多希は与えられる刺激から藻掻いて逃げるように、頭をシーツへと深く沈ませた。 「あぁっ、や、だめ……っ。くすみ、さ……イく、イく……!」 必死の訴えを唆すように、久住は巧みに多希を絶頂へと押し上げた。 力の入らなくなった足を支えながら、久住は名残惜しそうに管に残った残滓を吸い上げる。
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