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御坂粋は阿呆で純粋です。二 寿・現在(二十六)
一時間を少し過ぎて、モスバーガーの袋を携えた粋がやってきた。
粋から袋を預かってテーブルに置いてから、粋を抱き締めた。昨日と同じ香水の匂いと、ボディーソープの香りがした。
「疲れてない?」
「疲れてる。でも、今からチャージするから大丈夫」
顔を右に傾けた粋の唇が近付く。この部屋に二人きりだ。拒否する理由は何もない。
寿も右に傾けて目を閉じた。
舌を絡め優しく吸われ、昨日から燻る炎にまた火がともる。
粋の手が胸に伸びてきた。寿はそっと唇を離した。
「……お昼まだなの。食べてもいい?」
粋の眉が残念そうに下がった。
「うん。食べたほうがいいけど、もう一度だけ」
粋の唇は、啄むようなキスをして、最後に頬にキスをした。
テーブルに広げて食べている間、粋は物珍しそうに部屋の中を回り窓からの景色を見ていた。
「遠征とかさ、日本代表でもホテルに泊まるでしょう」
「こんなに高いところには泊まったことがないから。すごいね、俺のマンション見えるかな」
背伸びをして覗き込んでいるが、見えるわけがない。
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