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ナイトウェアの中に手が入ってきて腰を掴まれた。そのまま体を入れ替えられて、粋が上になった。
寿がリードしようと思っていた。下から睨むと、焦がれるような切ない眼差しの粋と視線がぶつかった。
「……何かあった? 寿らしくない」
粋は、寿のはだけたナイトウェアの胸元を手繰り寄せて、露わになっていた胸を隠した。粋のほうが、寿よりずっと冷静だった。
「何もない」
「俺に話したいことは、これ? 違うだろ」
「私が処女なのかどうか気にならないの? それとも、そんなに魅力がない?」
「気にならないよ。どっちでもいい、寿は寿だ」
粋の手が寿の手首を握った。
「それに、めちゃくちゃ魅力的だよ。ほら」
握られた手首が粋の股間に当てられた。さっきよりも硬くなっている気がした。
「でも、俺には理性がある。だから誘惑されても流されない。疑ってしまったのは、寿が悪いからじゃない、俺が弱いからだ。本当にごめん」
粋の腕が寿の腰を抱えた。二人の体を起こすと、はだけた胸元のボタンを掛けていった。
「あと、俺には寿が本当に話したいことを聞く耳もあるよ」
この男は本当に狡い。阿呆なくせに、信じられないことをやらかすくせに、どうして、こんなに真っ直ぐで清らかで悪意がないのだろう。
抱き締められた粋の胸は、大きくて心地良かった。
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