離れる、離れない、離れたくないない  現在(二十六)

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「え、マジっすか? 寿さん、御坂粋と……」 「実はそうでした」  照れ臭くて小鼻に触れたら、すぐにパフで直された。 「あ、ごめん」 「駄目っすよ、顔には触らないでください」  画面の中、粋の隣には中井がいた。 『えー、ここからはサッカーの話でお願いします』  会見が進んでいく。 「御坂粋……呼び捨てはまずいっすね、御坂さん、すごいっすよね。モデルの才能もあると思いますよ」  モデルとは、何を言っているのか全く意味が分からなかった。山森梓との報道の件で、今日、何か発表があると中井の用意した文章に書かれていたけれど、そのことだろうか。 「見ます? 俺、山森梓さんのメイク担当して、さっきたまたま見本誌もらったんですよ」  そう言って矢並が持ってきたのは、若い女性に人気のある『Lazy』だった。 『濡れる恋愛、してますか?』  表紙に書かれた言葉はなかなか官能的だ。  それだけではない。表紙はもっとすごかった。  一糸まとわぬように見える山森梓さんを粋が後から抱き締めている。胸が見えないよう、粋の腕で胸が隠れていた。  中を捲ると、もっと過激だった。  唇が触れそうなカットがたくさんあるし、セックスを連想させるカットもあった。  一番驚いたのは、粋の股間に手で触れて唇を寄せようとしている山森梓のカットだった。
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