離れる、離れない、離れたくないない  現在(二十六)

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 マジでぶっ飛ばす。いや、ぶっ殺す。  電車に揺られながら、何度も何度も頭の中で粋を蹴っ飛ばして、投げ飛ばした。ヘッドシザースで、粋の頭を締め上げる。  粋のマンションまで、芙季が送ってくれると言ったが断った。連日の騒動の疲れが出て、しんどそうだった。  電車は緊張したが、思ったよりも気付かれなかった。考えているよりも、皆、他人に無関心だ。  一応LINEを入れたが、返事はなかった。返事が来るまで、横浜をぶらぶらしていようと思っていた。  発売前の雑誌だから、くれぐれも人前で出さないように、矢並に釘を刺された。スマホで調べたら、発売の告知が既にされていた。 『山森梓、一歩先、大人の世界へ』  記事のタイトルから考えても、恐らく山森梓は、清純派を脱しようとしているのだろう。そのために、うまく粋が使われたのだ。  コメントを見ても、好意的なものが多かった。  良いように使われている粋にも腹が立つが、他人のふんどしで相撲を取る山森梓やその陣営にも、かなりむかついた。
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