離れる、離れない、離れたくないない  現在(二十六)

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 幼い粋がどんな思いでこれを書いたのか。  心が削られるような痛みが体を巡った。悲しいなんて言葉では言い表せない。この感情をなんといえばいいのか、寿は知らなかった。    涙が溢れた。  代わってあげたいと、心から思った。  純粋な粋が傷付くのなら、自分が盾になりたいと思った。  もしもタイムマシーンがあるなら、これを書いている粋の元へ飛んで行って、幼い粋を抱き締めたかった。  あなたには、サッカーで繋がる一生の仲間ができるよ。私もいるよ。一人じゃないよ。そう教えてあげたかった。  今も、同じように生きづらさを感じているのだろうか。  人の気持ちが分からないなら、教えてあげたい。理解してくれるまで向き合いたい。  でも、これは違うと思った。  奢った考えだ。  寿は、粋を分かろうとしただろうか。理解しようと向き合っただろうか。  たぶん、していない。分からない粋を責めてばかりだったかもしれない。  寿は大きく深呼吸をした。  寿に振られると、海で泣いた粋のことだ。  振られるかもしれないと、きっと、リビングで戦々恐々としているだろう。  この先付き合っていけるのかはよく分からない。  でも、そばにいたいと思った。  零れる涙を拭いて、原稿用紙を小学校の卒業アルバムの上に置いた。
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