ロージー・ガール 〜浮気をしたらしい恋人をぶっ飛ばしてきます〜

離れる、離れない、離れたくないない 現在（二十六）

「浮気も嫌。風俗も嫌。仕事でも嫌。粋が触れていいのは、私の体だけなの。粋に触れていいのは、私だけなの！」

　掲載されたページを全部破ったころには、驚くほど息が上がっていた。泣かないように気を張っていたはずなのに、顔は涙でグチャグチャだった。

　詰んだ。終わったと思った。

　嫉妬に狂って粋が載った雑誌を破るような女なんて、はっきり言って怖い。自分でも、頭がおかしくなったとしか思えない。

　座っている粋は、惚けているようにも見えた。すっかり言葉を失って、茫然自失していた。

　でも、まだ肝心なことを言っていない。
　これを伝えたら、帰ろう。

「粋がさっき、別れたほうがいいって簡単に言ったことも辛かった。そんなにあっさりと口にしてほしくなかった。でも、私が一番辛いのは、私が、粋の苦しみに少しも気付けなかったこと」

　もう立っていられなかった。その場に崩れると、寿は両手で顔を覆った。