離れる、離れない、離れたくないない  現在(二十六)

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 リンスを流した後、メイクを落として、洗顔をした。体を洗う段階まできて、はたと気が付いた。  これって、まさか……。  いや、まさか、そんなわけがあるはずない。 『粋が触れていいのは、私の体だけなの!』  自分の過去の発言が、頭の中で何度もリフレインする。  これを粋が真に受けた。めちゃくちゃあり得る。  だったら何で、昨日は最後までしなかったのだろう? シャワーを浴びてなかったから? 寿が初めてだったから? 粋が疲れていたから? どの理由も腑に落ちない。  とりあえず、何をされてもいいように隅々まで綺麗に洗った。昨日のように、舌を這わせられるかもしれない。首筋も胸の先端も、一番敏感な場所も粋を受け入れるところも綺麗に洗った。  粋が本当にそのつもりなのだとしたら、粋は束縛されてもいいと思っている、その解釈でいいのだろうか。  自分で思っていたよりも、寿は強欲で独占欲も嫉妬心も強い。本当にこんな寿で粋はいいのだろうか。  シャワーを止めると、風呂場を出た。洗濯機の横にある棚の上に、さっきはなかったバスタオルと着替えが置いてあった。  バスタオルを取った拍子に、何かが落ちた。  女物のショーツだ。洗顔用品と一緒に、粋がコンビニで買ってきたのだろう。  これを持ってレジに並んだ粋を想像して、急に恥ずかしくなった。  本当に粋は、いったい何をしているのだ。寿とセックスする気満々なんだとして、寿がぶつけた気持ちを半分ぐらいは理解したのか、それだって不安だ。  買ってきてくれたショーツを身に付けた。ブラジャーはしなかった。  粋のだろう、長袖Tシャツが一緒に置いてあった。全国大会のオフィシャルのものだ。着てみたが、丈が短くて、お尻がやっと隠れるぐらいだった。  きっと、もっと小さな女の子、卒業アルバムで告白してくるようなああいう可愛らしい女子だったら、彼シャツ的なアレで、可愛く着こなすのだろう。  寿には、そういう風に着るには小さすぎた。所謂、萌え袖にもならない。
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