離れる、離れない、離れたくないない  現在(二十六)

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「メンズのLサイズがピッタリってさ、普通、引くよなあ」  ウエストの紐を縛りながらつい独りごちた。 「ええ! なんで?」  粋に聞こえていたようだ。めちゃくちゃ黒目を小さくして、粋が振り返った。 「なんでって……だって、レディスではなくてメンズのLサイズがピッタリなんだよ? 普通の女の子は、ぶかぶかでしょう。それを男子たちは可愛いと思うんでしょう」  粋が思いきり顔を顰めると、首を傾げた。 「分かんねえ、全く分かんねえ。身長なんて関係ねえだろ。寿は、俺の身長がお前より低かったら、引くの?」 「いや、別に引かないけど」 「だろ? 俺は大きくても小さくても寿が好きだ。だから、小さい女子が可愛いとか全く分かんねえ」 「粋、私、泣きそう」 「ええ! なんで!」  粋が慌てだした。  きっと、今の言葉全ては粋の本心で粋の当たり前なんだろう。だから、なんで寿が泣きそうかなんて、理解できるかわけがない。  理解してくれなくていい。今の粋のまま、いつまでも愛してくれたらいい。 「じゃあ粋は、私のおっぱいが小さくても好き?」 「もちろん」  得意顔で寿を抱き締めた。背中の右手が、さりげなく前に来て、スウェットの中に入ってきた。 「……でも、あ、もちろん小さくっても寿は寿だから大好きだけど、やっぱり、これくらいある寿が一番好き……かも」  そう言いながら、胸の下を指で揺らした。 「もう、駄目触ったら。りんご剥いてくれるんでしょう?」 「少しだけ、触ってたい。ちょっとだけ」  睨んだが、キスで誤魔化された。甘いキスと胸への刺激で、どうしてもエロティックな吐息が出てしまう。  意図せず、粋の耳元で出た喘ぎ声が、トリガーになった。  結局、ベッドに倒され、朝まで何度も何度も愛された。
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