あり得ない初めまして 寿・現在

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「絶句してるっぽいね。またあいつは話していなかったのか。芹沢、今夜は何か予定ある? 与井たちと飲むんだ。永倉も来るし、林と山原も来るよ。御坂も料理教室が終わったら来る。どうだい、一緒に飲まないか?」  まだ、一度も酒を飲んだことがなかった。飲む機会がなかったわけではない。なんとなく、飲んでこなかった。 「行きます。どうしたらいいですか?」  酒を飲んでやろうと思った。  別に黙っていた粋が悪いわけではない。きっと、驚かせようと思ったのだろう。  でも、いけ好かない。モヤモヤする。こういう時、大人は酒を飲むはずだ。  居酒屋の場所をLINEで送ってもらった。皆との待ち合わせの六時までにはまだ時間があった。寿は本屋で時間を潰すことにした。  ベルギーのガイドブックを手にした。  粋が行く街は、確か、ゲンクだ。  温帯海洋性気候に属し、比較的温暖な気候らしい。昔は炭鉱業で栄えた街で、今は、炭鉱跡を文化施設として利用しているそうだ。  粋の行く、グルーネ・レオネンもあり、スポーツを通じたコミュニティ活動も盛んと書かれていた。  緑も豊かで、とても暮らしやすい街のようだ。  粋にピッタリだと思った。きっと、穏やかに暮らせるはずだ。  そのガイドブックを購入して、少し早いが店に向かった。
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