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奥の席に永倉と佐々木がいた。山原と入ってきた寿を見て、驚いたように懐かしそうに手を上げた。
「久しぶりだな、芹沢。元気そうだな」
いつも不機嫌そうだった永倉に笑顔で話し掛けられると、どうしていいか分からなくなる。
「……なんか、永倉先輩、大人になりましたね」
それを聞いて、与井が大笑いした。
「こいつは全然大人になってねぇよ。今だって、大学でキレまくりだろう」
永倉は大学でもサッカーを続けていた。
与井が寿の隣に座った。
「御坂とは仲直りしたみたいだな」
「その節は、ご迷惑をお掛けしました」
寿は深々と頭を下げた。
「あいつは阿呆だし言葉も足りないし気も利かない。でも、本当に芹沢を好きらしいんだ。まあ、困ったことがあったら、俺でも広瀬でも、遠慮なく相談してくれ。あ、飲み物頼んでないのか? ビールでいいか?」
「いえ、あの、あんまりアルコールが強くない飲み易いお酒がいいんですが」
与井は、梅酒のソーダ割を頼んでくれた。これなら、飲めそうだ。
広瀬と尾崎がやって来た。寿の梅酒ソーダと広瀬たちのビールが運ばれてきて、さあ乾杯だと皆がグラスを持ち上げた時、粋がやって来た。
「悪い、遅れた」
「こんばんは、お邪魔します」
粋の後から、女性が一人、顔を出した。眼鏡をかけてキャップを被っているが、見覚えがあった。
山森梓だ。
粋が、山森梓とやって来た。
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