公開裁判 寿・現在

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「よし、じゃあこうしよう。御坂、ここに座れ。俺は誕生日席に座る。与井たちは、二人の話を聞いて、より共感できるほうに座れ。公開裁判だ」 「公開裁判だなんて、大丈夫です、広瀬先輩。この後、ちゃんと二人で話します」  二人の問題なのに、皆を巻き込むのは申し訳ないし、何よりも、自分の不甲斐なさを露呈するようで恥ずかしかった。 「一つ俺から質問だ。この間、芹沢はうちに泊まって御坂と話したんだよな? その成果は出ているか? 今回の件に活かされているのか?」  活かされていないのだろう。だから、同じようなことがまた起こる。その上、この間の話で粋を妙に理解してしまったおかげで、強く言えないでいる。 「御坂みたいなやつには、何回でも言わないと分からないんだ。御坂、今話さないでそのうち芹沢に愛想を尽かされるのと、今きちんと話してこの先も仲良くやっていけるのとどちらがいい?」 「そりゃあ、この先もずっと仲良くやれるほうがいい。寿、俺は自分が何か悪いことをしたらしいというのは分かっても、どれが悪かったのか、皆目見当が付いてない。だから、教えてほしい」  粋の瞳は真剣だった。自分の情けないところを晒すのは気が引ける。寿は、酔いも手伝い、覚悟を決めた。
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