公開裁判 寿・現在

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 与井が粋の頭を思いきり叩いた。 「お前は気付くのが遅えんだよ、阿呆御坂! あんな風に言われたら、芹沢は嫌な気分になったに決まってるだろう」 「結構な食わせ者だな、山森梓は。これからも付き合いがあるなら、気を付けろ。御坂は阿呆すぎる」  粋はスマホを出すと広瀬に見せるように操作をした。 「なんか、めちゃくちゃ怖えから、料理教室関連は全部ブロックするわ。これ、ブロックできてるよな?」  広瀬が粋のスマホを覗き込んで確認した。 「ああ、できてるよ。なんだ、お前、料理教室の女からめちゃくちゃ連絡来てるじゃねえか」  広瀬が寿に画面を見せた。  登録のあるほとんどの女の人と、粋はやり取りをしていた。  それの一つを広瀬が開いて、読み上げた。 「御坂さん、今日はお疲れさまでした。もし良かったら、今度、私の部屋で復習しませんか? 苦手そうな味付けのところ、私は得意なのでお教えします」 「うわ! 私の部屋っていやらしいだろ! こんなふうに誘われたら、俺なら行くぞ。こいつはなんて返信したんだ」  里中が叫んだ。皆、広瀬を見た。 「御坂の返信だ。今日はお疲れさまでした。復習は家でやるので大丈夫です。うちには名シェフがいるので採点してもらいます。また料理教室で一緒になったら、教えてください。どうだ尾崎、何点だ」 「九十点だ」 「そうだな。何で百点じゃないか分かるか、御坂」  粋は、何度も瞬きをしている。このLINEがやり玉に挙げられている意味自体、あんまり理解していないようだ。
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