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粋が何を考えているのか、顰めた顔を見ても分からなかった。
「そうなんすよ。LINEだって、御坂先輩から送ってるわけではないんですよね? だったら良くないっすか? 別に誘いに乗ってるわけでもないし、先輩から誘ってるわけでもないし」
「山森梓だって、勝手についてきたようなもんだよな? そこまで皆で責めると、さすがに可哀想ていうか……」
「ほぉ、そうか。ずいぶんと偉そうに意見できるようになったな。喜ばしい成長だ」
広瀬の周りの気温が一度ぐらい下がった。顔は笑っているが、目は笑っていない。
こうなった広瀬は怖い。高校生の時は、鬼に変化したと言って、皆逃げ回っていた。
山原も里中も、顔色が一瞬で悪くなった。
「ん? どうした? もっと言いたいことがあるなら聞くぞ」
「いや、その……ただ、僕はそこまで御坂先輩をやり玉に挙げる必要はないかと……」
「声が小さいな、山原。もっと腹から声を出せ。そんな声じゃあ、鹿島の先輩方にどやされないか?」
寿は粋を見た。粋も青い顔をしていた。
「では、山原に質問だ。山原が御坂の立場だとして、グループLINEの中の女から個人的に連絡が来たら、返信するか?」
「……好みのタイプなら、しますね」
「そこに下心はあるか?」
「……たぶん、ありますね。それが男でしょう」
「なるほど、では、下心を持ってやり取りするとしよう。でも、お前には芹沢がいる。見られたら言い訳するのも面倒臭いよな。じゃあ、どうする?」
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