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「ここで判決を聞くの? お前らの前で? 許してもらえなかったら、俺、すげえ可哀想じゃん」
「お前の可哀想なんてどうでもいいんだ。さあ、芹沢、どうする?」
判決なんて考えていなかった。粋を見ると、青い顔をしてハラハラしていた。
どうせ、判決は決まっている。
多くの女が魅力的に感じる、この顔もこの体も大好きだ。
ポンコツなところも、分からなくて突っ走るところも、全部大好きだ。
阿呆だけれど、どこまでもピュアな粋が大好きだ。
こんなに好きなのだから、仕方がない。
「判決、ですか……。じゃあ、執行猶予三年で」
「うわぁ、御坂だっせー、有罪じゃん」
与井が腹を抱えて笑い出した。
「これから、どれくらい理解したのか尋問します。それによっては、実刑の可能性もありますけどね」
「実刑ってなんだよ、死刑か?」
気の毒そうに、久保が粋を見た。
「秘密です。かなりゴリゴリでドロドロでずーんって感じの刑罰です」
「それはいいな。ぜひ、執行の際には呼んでもらいたいね」
広瀬が笑った。あくどい笑顔だ。
「芹沢のマンションまで行くのか? うちでもいいぞ」
「嫌だよ、山原も泊まるんだろ? 俺のベッド使っていいぞ。あとこれ」
粋が財布から万札を何枚か出して広瀬に渡した。
「おお、おごりか?」
「うん。足りるだろ?」
粋は立ち上がると、着てきたピーコートに袖を通した。
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