初恋の人 (寿・現在)

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「やだ、私、何か恥ずかしいことしちゃったの?」 「いや、別に……」  粋と視線が合わない。おかしい。 「もしかして、粋が酔ってる私にいたずらした?」 「してない! そんな極悪人みたいなことはしてない! してないけど……」 「けど?」  言い淀んでいる。絶対に何かした。何をしたのか、寿は粋の瞳をじっと見詰めた。 「……お風呂に一緒に入ったのは覚えてない?」  キャミソールの肩紐に腕を通しながら考えた。 「お風呂? 粋と? あの狭いお風呂に二人で入ったの?」 「うん。俺が服も下着も脱がせて、髪も体も俺が洗った」 「洗ったの? 粋が、私を?」 「寿が眠いから洗ってって甘えるから……」  甘えるなんて、寿には一番似合わない言葉に絶句した。自分から洗ってほしいとねだったということか。 「甘えたの? 私が?」 「うん。すげえ可愛かった」  鼻の下を伸ばして粋がデレた。寿の顔は自然に険しくなっていたはずだった。それを見た粋が、慌てて真顔になった。 「マジでさ、いたずらはしてない。でも、その、寿の体を洗ってれば、ほら、男なら……」  言っている意味が分からなかった。 「いや、だからさ、寿の胸とか揉ん……洗ってたら、男なら勃つじゃん。そしたら、寿が俺のを握ってきて」 「……握ってなにしたの?」  この間見たリアルな作り物みたいなあれが頭に浮かんだ。触っただけなら、この間も触ったし、許容範囲だ。
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