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「俺も起こしてくださいよ。朝起きてマジで慌てましたよ。挨拶もそこそこに逃げてきました」
廊下から山原の声が聞こえた。
「おざーす。広瀬先輩、俺にも飯を恵んでください」
「いいぞ。その前に、一つ答えてもらえないか」
「何すか。何かマズいことっすか。俺、答えられないこともありますよ」
山原の顔が少し歪んだ。広瀬からの質問は恐怖なのだろう。
「なに、たいした質問ではないさ。俺らが優勝した全国大会、俺は芹沢がいなかったら優勝できなかったと思っている。お前も思っているはずだ。それは何だと思う?」
「そんなの簡単っすよ。御坂先輩が芹沢を好きになって、いいとこ見せたかったから勝てたんでしょ。芹沢がいなかったら、御坂先輩はぐだぐだで終わってたと思いますよ」
「分かったか、御坂」
粋はまだ首を傾げていた。
「まだ理解できないか」
「理解っつーか、お前らは一つ間違っている。俺は寿にいいとこを見せたかったんじゃなくて、寿が泣かされたのに腹を立てたんだ。だから、もしあの時寿が泣いたり怒ったりしていなかったら、負けてたかもしれない」
「御坂お前、そんなんもっと駄目だろうが! 立て、根性を叩き直してやる」
与井が粋に飛び掛かった。
「お前たち、食い終わったんならリビングで暴れろ。山原座れ。生憎魚はもうないから、ウィンナー焼いてやる」
粋と与井と自分の空いた食器を持って広瀬はキッチンに行った。粋と与井はソファでまたじゃれ合っている。
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