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「そうか……。ずっと不思議だったんだ。まさか御坂がいたからだとは。それにしてもすごいな、今までおくびにも出さなかったじゃないか」
広瀬はすっかり感心した様子だった。
「俺、職員室で監督に紹介された時、寿に睨まれた」
「それは、私のことをやっぱり覚えてないんだって、ちょっとショックだったから。ていうか、前に話さなかったっけ?
「都大会で初めて会ったっていうのは話したけど、俺がいるからサッカー部に入ったていうのは初めて聞いた」
「ん? 二人は入部前から知り合いだったのか?」
粋が寿の肩に手を掛けた。
「知り合いっていうか、中三の時の都大会で会ったことがあったんだ」
「もうやめましょう、この話題……」
寿は両手で顔を覆った。このままでは、寿の黒歴史も暴かれてしまう。
「何で? 恥ずかしい?」
恥ずかしいに決まっている。分かりきったことを聞いてくる粋を寿は睨んだ。
「寿は、ずっと俺を好きだったってこと?」
もうやめようと言ってるのに、やめようとしない粋が心底憎かった。睨んでもちっとも理解しない。
「芹沢、こいつの外見に騙されて入部しちゃったっていうのを暴露するのは恥ずいと俺も思うよ。でも、このメンバーだ。話しちまおうぜ」
与井まで煽ってきた。広瀬は横で頷いているし、粋は聞きたくてウズウズしている。
「……そうです、ずっと好きだったんです!」
どうにでもなれと思った。
茉由にしか話したことのない事実を寿は暴露した。
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