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「お願いがあるの」
余裕のなさそうな顔で、粋が訝しげに眉を顰めた。
「前みたいに何回もすると、その……擦れて痛いの。だから、二回までね。あと、力強く乱暴にされるよりも、優しくされるほうがいい。まだ少し怖いの、セックス」
粋の表情がコロコロ変わった。余裕のない顔から訝しげになって、黒目が小さくなって、もっと小さくなって青くなった。
「ごめん。そうだよな、初めてだったんだよな。俺、全然余裕なくて……」
叱られた子犬のように眉尻を下げて、悄げてしまった。
寿は体を起こすと項垂れる粋にキスをした。
「責めてるんじゃないよ。優しくしてってお願いしたの」
子犬は口を尖らせて反省していた。
「私もしたいから、触って」
粋の手を握ると、胸に置いた。腕を粋の首に伸ばして、頭を引き寄せたら、子犬はすぐに大人になった。
余裕のない顔に戻ったから、一瞬身構えたが杞憂だった。
食むように優しいキスを唇に何度も落として、首筋に舌を沿わせた。胸に触れる指先も優しい。
丁寧で蜜のように蕩ける愛撫は長く続いた。
舌と指で達した寿にキスをしながら、粋が挿入ってきた。
僅かな苦痛は、寿の唇から嬌声が漏れる頃には甘い快楽に変わっていた。
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