ジェヒ 寿・現在

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「”ジェヒ、やめろ! ミス・セリザワが戸惑っているだろう!”申し訳ありません芹沢さん」  ジェヒの後ろから入ってきたのはマネージャーのようだった。日本語が上手だ。ジェヒを寿から引き剥がすと、平謝りした。 「”わたくし、アテーナの高倉です”」  日本語がしゃべれるみたいなのに、わざわざ高倉は英語で挨拶をして名刺を出した。 「”すみません、ご挨拶が遅れました。イルミナ・エンタテインメントのクオン・ヒジュンです。本日はどうぞよろしくお願いします。ほら、行くぞジェヒ”」 「”いってえ! ヒジュンさん力強いよ。じゃあね、あとでたくさん愛し合おう、僕のコトブキ。サランヘヨ”」  嵐のようなジェヒが去って、部屋の中は静まりかえった。 「何、あれ。大丈夫……?」 「彼は常にあんなテンションらしいです。どうもオーリスの編集長と仲が良いみたいで、寿さんが出ることがあったら呼んでくれって言ってたようですね」  年齢は寿と同じぐらいのはずだ。身長は粋よりも高い。体もずいぶんと締まっている感じだった。顔は、整っていてわりとあっさり目だ。粋と系統が似ているかもしれない。  粋よりも大きな男に抱き締められるなんてそうそうない。認めたくはないが、少しだけドキドキした。
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