プレゼント 寿・現在

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プレゼント 寿・現在

 飛行機の時間に間に合わないからと、寿の母と弟も含めて成田に前日泊することになった。  土曜日は遅く起きて、朝ご飯よりは遅くて昼ご飯よりは早い食事をした。粋が作ってくれた目玉焼きはとてもおいしかった。 「半熟の目玉焼き、上手になったね」 「だろ? 味噌汁も上手くなったし、きゅうりとトマトと卵とウィンナーがあれば、ヘンクで生きていけると思うんだよね」  得意げに鼻の穴を膨らましている。なんて可愛らしいんだろう。粋の一挙手一投足に胸が疼いた。 「これ食って荷物まとめたら買い物行かね? 銀座に行こう、銀座」 「いいけど。何か欲しいものあるの?」 「うん。寿へクリスマスプレゼント。実はもう考えてあるんだ」  また鼻穴が少し広がった。 「嬉しい。何だろう? 粋にはパリで何か買って、寿便でお届けしようと思ってた」 「俺のプレゼント、寿でいいよ。寿がいい。寿便で寿を届けて」 「いいよ。私にリボン巻いて粋に届ける」  白いマグカップのコーヒーを飲み干して、粋が笑った。  ここの部屋の家具や雑貨は、寿が帰国する前に芙季が用意してくれたものばかりだ。  何か、二人でお揃いの食器が欲しかった。パリとヘンクにそれぞれ揃えたいと思っていた。 「粋はヘンクに行ったら食器や生活雑貨を揃えるの?」 「うん。エージェントの人が手伝ってくれるって。寿は? この部屋みたいに山崎さんが用意してくれてるの?」 「ううん。ニューヨークで使っていた物を帰国する時にコンテナに預けていたの。それを芙季さんが発送してくれたっていうから、それを使うの。でも、食器は一から揃える。粋の分も揃える。だから、粋もヘンクで私の食器も揃えて」 「そうする。いつ寿が来ても、すぐに暮らせるように整えるよ」  食べ終わった食器を重ねて粋が立ち上がった。 「さて、片付けてきな。食器は洗っておくよ」 「ありがとう。早く片付けて、銀座デートだね」  嬉しそうに顔を綻ばせて粋が頷いた。
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