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「では、これでお願いします。それで、僕たちは海外に行ってしまうのですが、送っていただけませんか?」
「御坂さんはベルギーでしたっけ? ちょうどその頃、買い付けに行くので、その時にお持ちしますよ。周りのダイヤモンドは私に任せてもらえますか。最高の婚約指輪を制作します」
「よろしくお願いします」
婚約指輪なんて、とてもくすぐったい。
婚約とは、結婚を約束するってことだ。お互いの親にも挨拶していないのに、オーダーメードの指輪なんて作ってもいいものだろうか。
「寿、アクセサリー見せて貰っててよ。俺は契約書にサインしたりするから」
金額は見られたくないようだ。
おとなしくそこを離れて、ピアスや他のアクセサリーを見ていると、ジェヒが出てきた。
「”婚約だって? 俺の入る隙間はないのかな”」
「”この間初めて会ったばっかりなのに何言ってるの? 私、エクリプス好きでよく聴いてたんだけど、ジェヒの頭がこんなにお花畑だったなんてがっかりだよ”」
皮肉ったつもりなのに、ジェヒはニコニコと笑い出した。
「”お花畑、いいだろう? 人生は楽しく生きなくちゃね。嬉しいな、エクリプス聴いてくれてるんだ”」
「”日本にまだいていいの? 忙しいんでしょう?”」
「”僕たちは家族を大切にするからね。今日は祖父母に孝行するために来たんだ。これから食事に行くんだ。寿たちもどう?”」
「”ありがとう。でも、私たちも予約しているの。ご遠慮するよ”」
残念そうに顔を顰めるジェヒの元へ、怖い顔をして粋がやって来た。
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