勇猛無比な女の子  粋・過去(一)

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「なんか……強そうですね」 「ああ? 芹沢か? あれくらいでなきゃ、うちでやってけねえだろう。俺はもうお前らのビブスを洗濯するのは嫌だ。絶対に辞めさせるなよ。監督命令だ」  私立葦沢高校は、サッカーの強豪校だった。インターハイも全国もベスト4はあたりまえだし、ほとんどの部員がスポーツ推薦で入ってくる。寮もあり、地方から入学する者も多かった。  だからなのか、どうなのか、マネージャーが入っても居着かなかった。ほとんどの元マネージャーは、ミーハーな理由で入ってくるからかもしれないと、部員たちは話していた。  はっきり言って、サッカー部はキレイではない。部活が終われば汗臭いし、部室の中は臭うし、トレーニング・シューズは臭い。雨が降れば泥だらけになる。  そんな現状を目の当たりにすると、三日持たずにみんな辞めた。 「善処します。失礼します」  教室に戻りながら、でも辞めるだろうなと思った。
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