怒った仔犬  粋・過去(二)

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怒った仔犬  粋・過去(二)

 新しく入ってきたマネージャーは、辞めなかった。むしろ、活き活きと働いていた。 「あいつ、こえーよな」  スタメンでサイドバックを務める三年の与井猛の言葉に、二年でボランチを務める佐々木が頷いた。 「マジで怖いっす。でかいし。後輩に思えない」  二人が怖いと言ってるのは、寿のことだ。寿は部員たちに厳しかった。年上も何も関係なく、片付けが雑だったり、やるべきことをやらないと叱咤した。 「いや、言ってることは筋は通ってるぞ。お前らがしっかりやれば済む話だろう」 「広瀬先輩は怒られないからっすよ。芹沢は睨んでばっかりいないで、笑えば可愛いんだけどな」  広瀬は三年でセンターバックを務めていた。副キャプテンだが、キャプテンの粋よりもずっと落ち着いていて要領が良かった。  笑ってれば可愛いなどとのたまっているのは、センターフォワードの二年の里中だ。背の高い里中は技術もあり上手い。  二人とも、女子にはよくモテた。
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