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「いやいやいや、拙者が優勝候補筆頭だということをお忘れなく」
「寒河江ぇ、お前もライバルかよ」
「おそらく芝崎氏も、優勝狙ってるでござるよ」
「うん、私もそう思う」
「だろうな」
芝崎は4人目のクラス代表だ。だけど、ここにはいない。3年生になってから、一度も学校に来ていない。でも担任がいろいろ頑張ってくれて、今回は自宅からオンラインで試合に参加することになった。
俺たち4人は、普段の教室ではあまり接点がない。だけど、今はチームだ。クラスで選抜された、リレーの選手みたいなものだ。
運動が苦手でも、どんな体格でも、不登校でも。病気や怪我であまり体を動かせない人だって、楽しめるのがeスポーツだ。知識と戦略と反復練習、それにチームワークが重要なのは、バスケやサッカーと同じ。全身の筋肉を使うことだけがスポーツじゃない。俺はそれを今日、みんなに分かってほしいと思ってる。
感じてほしい。気づいてほしい。
eスポーツでなら、もっともっとたくさんの人が、走ることも跳ぶこともできるってことに。
「行こう」
俺たちは、戦場となる多目的室のドアを開けた。
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