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NOKKOが切なげに歌い叫んでいる。
その気持ちが痛いくらいに染みてきて、わたしは胸を押えた。
なんでわたしは手を離してしまったんだろう。あんなに好きな人だったのに。ちかちゃんはわたしの太陽だった。
あの頃のちかちゃんへ対する気持ちが何だったのか、今でもよくわからない。恋のような友達の延長のような親密さは彼女の他に感じたことはない。
だけどちかちゃん。
だからこその別れが今更ながら身に染みる。
もっと真剣に向き合っていたら、何か変わったのだろうか?
これからも一緒にいたいとダダとこねたら? わたしも好きだと伝えていたら。これは恋なんだと思い込んでいたら。
いや、きっとわたしたちはあれより先には進めなかった。お互いに気持ちの距離が出来ていってもっと辛い別れ方をしたかもしれない。
―――いつも走っていたohフレンズ あの瞳がいとしい
わたしは卒業アルバムを取り出すとパラパラとページをめくった。ちかちゃんの名前と顔を見つけて指でなぞる。
思い出の中より幼いちかちゃんの笑顔。優しい瞳がわたしを捉える。
あの時ちかちゃんはひとりで何を思っていたのだろう。もう友達じゃいられないと言うまでどれだけ悩んだのか、わたしには想像がつかない。
取り返しのきかない時間。
せめて今、彼女が幸せであることを祈る。どうか大切な人にたくさんの愛を注がれていてほしい。わたしは叶えてあげられなかった未来。
彼女の周りがたくさんの愛に包まれていることを願う。
アルバムを閉じると息を吐いた。
いつの間にか部屋が夜に浸食されている。
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