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駐車場に車を停めようとバックするため後ろを見た時、いつも停まっている君の車が無かった。
見える家の中は真っ暗だ。
今日君は友達と出かけていない。
車から降りて、玄関に行くといつもは鍵があいているが、今日は閉まっている。
家の中に入り、居間のドアを開けると真っ暗で静まりかえっている。
いつもは明るく、暖かい部屋に
「おかえり」
と座って、言ってくれる君がいる。
明かりをつけ、エアコンのスイッチをいれる。
電気のつく音
エアコンが動き始める音
が、
(こんな音だったんだ)
とびっくりした。
夕食の入ったコンビニの袋をテーブルの上に置き、自分の部屋で着替える。
静かすぎるので、着ていた服を吊るしたハンガーを棒にかける時にわざと、
「がっ」
と大きな音をたてた。
居間に戻り、袋から買ってきたお弁当を出してテーブルの上に置き、台所にある冷蔵庫の中からオレンジジュースを出してコップに入れる。
いつもなら、
「今日さー」
と君が夕食の仕上げをしながら話をし、
水の出ている音
肉などを焼く音
皿を用意する音
が聞こえてくる。
あまりにも静かすぎるので、テレビを観ながら、お弁当を食べ始める。
おいしいとは思うが、黙々と作業的に食べ進め、終わると袋に容器を入れて口を縛る。
テレビは、面白くないので消すと再び音のない世界になった。
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