0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごちそうさまでした」
「はーい。いっぱい食べたねー」
白瀬が買ってきたものは、全て絵都の腹に消えた。
絵都は頭を撫でて来る白瀬の手を振り払った。
「腹減ってた」
「まったく。最後に食べたのいつー?」
「……昨日の朝。家を出る前」
「俺、夜勤だからご飯届けられないよって言ったよね? もー、相変わらずだなー」
白瀬は呆れたように絵都を見る。絵都は悪びれる様子もなく、「忘れてた」と答えた。
「はぁ、全く。ご飯食べないとイライラしちゃうよ?」
「……別にそう言う理由じゃない」
床のキャンバスを指さした白瀬に、今度は気まずそうに目を逸らした。
「はいはい。ねー、俺昨日寝てないんだよね。ちょっとベッド貸してくんない?」
「……。どうぞ」
場所を開けた絵都は、ごろんと寝転んだ白瀬に自分が被っていた毛布を掛けた。
白瀬はすぐさま寝息を立て始めた。
「……よし」
静かな部屋で、BGMとして白瀬の寝息を聞きながら、床に散らばったキャンバスを片付け始めた。
寝たふりをしていた白瀬は、そっと片目を開ける。落ち着いた様子でキャンバスを片付けている絵都の姿を見た。
もう大丈夫と確信した白瀬は、今度こそ眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!