湖月雅志の告白

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湖月雅志の告白

 僕の両親が欲しかったのは、医者の家系を継いでくれる、完璧な子供だった。でも、生まれた子供が四歳になった時、体か頭か心か……どれなのかまでは知らないけど、ともかくどこかに重い障害があるのがわかったそうなんだ。  自分の子供に障害があるって、打算抜きで子供をちゃんと愛している親にだって、心底辛い現実らしいけどね。僕の両親は完璧な自分達から生まれるのは完璧な子供だって信じてたから、とても受け入れられなかったみたい。  悪いことに、同じ保育園に通っていた僕は、三歳だけど九九が言えちゃうような子供で、「神童」なんて呼ばれちゃっててね……。  両親は、自分達の本当の子供と僕を、世の中をうま~くごまかして、取り替えちゃったんだ。  僕の本当のお母さんはシングルマザーで、ひとりで僕を大事に育ててくれてたらしいんだけど。世間から、「自分の子供から目を離したせいで、子供が行方不明になった」って凄まじくバッシングされちゃって。子供を失っただけでも身を切られるより辛かったのに、有名になりすぎて日本のどこにも居所がなくなっちゃって。数年後に自殺しちゃったんだって……。
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