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赤子だからなのか、不安になった途端に精神が肉体に引っ張られて、泣き出してしまい、一度泣いてしまえば止める事ができなかった。あまり大きな声が出ないのか、僕はか細く泣き続けていると、突然モフモフしたものが僕の手足に触れ、お腹の上には小さな生き物が乗ってきた。
な、何!? リス? んー、よく見えない。他にもいっぱい居る?
僕が少し泣き止むと、さまざまな動物達の声が聞こえてきて、まるで泣き止んでとでも言うように、僕に触れてくる。その触れ方は、僕が壊れやすい赤子だと理解しているようで、ここの動物達は知能が高いのだと思った。
「ワフッ!」
あ、この気配……あのワンちゃんだ!
大きな犬が帰ってきてくれたのか、ひと鳴きすると周りの動物達が少し離れ、代わりに犬が僕を包み込み、何かが宙に浮いているのを確認すると、口の中に甘さ控えめの雫が入ってきた。
これって、まさかミルク? 僕が喋ってたから、ミルクが欲しいと思ったのかな? 僕、見捨てられたわけじゃなかったんだ。良かった……本当に良かっ───
「あぅあー!」
「ッ!? クーン、クーン」
雫がどんどん口の中に降ってくるため、僕はミルクで溺れそうになり、急いで声を上げると、やはり犬は知能が高いのか、宙に浮いていたミルクの元を何処かに吹っ飛ばすと、僕をうつ伏せにさせてミルクを吐き出させたいのか、鼻でグイグイと押してくる。
えっ、待って待って! 僕、まだ首もすわってないから、うつ伏せになったら窒息しちゃう!
僕は必死で転がらないように力を入れると、刺激されたからか、うまくゲップが出て、それと同時に苦しさもなくなった。
「ワフッ、ワフッ!」
僕が大丈夫だと理解したのか、犬は嬉しそうに舐めてきて、睡魔に襲われた僕を、優しく包み込んでくれた。
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