第一章(転生しました)

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 僕が転生して五年後、ちょうど僕が声を失った歳に、今世の僕も声を失った。それでも、僕は元気に育っていて、僕を育ててくれた犬は、犬ではなく真っ白の綺麗なオオカミで、その大きさは車くらいあり、かなり大きなオオカミなのだが、オオカミと一緒に僕を育ててくれた、他の動物達もかなりの大きさだった。そして僕の友達は、泣いていた時に乗って来たリス……ではなく、キツネだった。あの頃はまだ子供だったようで、今では普通のキツネと同じ大きさだが、五歳児の僕の首に巻き付いて離れない。 「キュン、キュウゥ」 「(ホオヅキ、どうしたの?)」 「キュン、キュン!」 「(父さんが、僕を呼んでるの?)」 「キュン!」  そっかぁ、じゃあ行かないとだね。  僕は赤子の頃から育てられたためか、動物達の言いたい事が、なんとなく理解できるようになっていた。この大きな生き物達を、動物と呼んでいいのか分からないが、僕にとっては大事な家族なため、そんな事は気にしていない。そしてこの動物達も、僕が喋れていた頃に癖で手話をしながら喋っていたためか、僕の手話や指文字をしっかり理解してくれていて、僕は主に指文字を使っていた。  はぁ……それにしても、僕ってなんで声出ないんだろう。もうあの夢は見てないのに……しかも五歳でなんて早すぎるよ。やっと流暢に喋れるようになってきてたのになぁ。  僕は父さんこと、育ての親である白オオカミの元へ行くと、服を咥えた父さんが僕に擦り寄って来た。  父さん、また僕に服を持ってきてくれたんだ。でも、その服っていつも何処から持ってきてるのか分からないんだよね……襲ってないといいけど。  父さんは僕の成長に合わせて、何処かから服を持って来てくれる。毎回、僕のサイズにピッタリの物ばかりで、僕にとってはありがたいが、父さんが人を襲っているのではないかと思うと、そのうち父さんが殺されそうで怖かった。しかし、父さんは無傷で帰ってきて、綺麗な毛にも血などはついておらず、血の匂いもしなかった。 「(父さん、ありがとう。でも、いつも危険じゃない?)」 「ワフッ、ワフッ!」 「(父さんが強いのは知ってるよ。でも父さんに何かあったら、僕が嫌だ)」 「ウゥー……クゥ」 「(僕も次からは連れて行って。連れて行ってくれないなら、僕は服を受け取らない)」 「ッ!? ワンッ! ワンッ、ワンッ……グルルルル」 「(怒っても駄目。僕だって父さんが心配なんだよ)」 「ウゥ……ワフッ」  やった! 次から連れて行ってもらえる!  僕は、父さんに連れて行って貰える事になり、テンション高めに父さんに抱きついて、モフモフを堪能していると、ホオヅキが父さんと何かを話しているが、明らかに僕の文句を言っている。 「ワゥ……」 「(なぁに? 父さん)」  父さんは、僕の名前と前世の記憶がある事を伝えた時から、僕を名前で呼んでくれるようになり、他のみんなも僕を名前で呼んでくれる。なんとなくでしか分からない言葉も、僕の名前だけは雨瑠と呼んでくれているのが、ちゃんと分かるのだ。
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