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「特進クラスの黒田さんの事を考えてたくせに」
「また、勝手に読んだな。まあいいや。黒田さんの事、知ってるの?」
「女好きで有名よ。話はまた後で」
田中がホワイトボードに数式を書き始めたので慌ててノートを開く。
学科の授業は好き嫌いは別にして気が楽だった。この後の古文も苦手ではあったが、一限目の術鍛錬の授業より何倍もマシだった。術鍛錬の授業では各自、自分の能力と向き合い、理解を深める学科と能力の精度を上げるための実技がある。晴翔は実技程、無駄な時間はなくサボりがちだった。それを見かねた教師達はサポート役に徹してみてはどうかと提案をした。それは晴翔にとってのターニングポイントだった。
「行きたいカフェがあるの」
授業終わりに奏子が晴翔に目配せをした。黒田の件を話そうと言うのだ。
「何かあったのかしら。みんなが校庭に集まってる」
騒ぐ生徒達に割って入った奏子が悲鳴を上げた。
「どうしたの」
「カラスが死んでる」
隙間から覗き込むと、重なる様にカラス達が倒れていた。
「さっき外で騒いでたカラス?」
「俺、カラスが落ちて行くの見た」
同じクラスの駒田翔が硬い表情で言った。
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