復讐代行宝飾店~デジタルに強くなる眼鏡チェーン~

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+ 老人会は、福祉センターで月に数回開催されるのだが、たまに行事(イベント)で地元の小学校から児童達が訪れることがある。  老人と子供との触れ合いを大事にしているらしいが、最近の子供達はそれを強要されている気がしてならない。 今日は独楽(コマ)回しを中心にメンコや双六(すごろく)で遊ぶつもりが、なかなか興味を示す児童がおらず、進行の役員も困った顔をしている。 やれやれ。 私は外の空気を吸いに行こうと部屋を後にした。 廊下を歩いていると、先ほど部屋の中にいた男児が、こそこそとスマフォ(スマートフォン)を眺めているのを発見した。 「何を見てるんだい?」 私の声にはっと顔を上げた男児は、怒られるのではないかと思ったらしく「ごめんなさい」と小さく発した。 「怒っている訳じゃないんだよ。 今の子供達が何に興じているのかが気になってね」 男児の表情が少し和らいだ。 「YouTubeを見てるんだよ。 『ザンギリ地蔵』ってYouTuberが面白いんだ!」 男児は私に向かってスマフォの画面を見せてきた。 はて、ユウチュウバアとは一体? 画面の中で小学校高学年くらいの子供達5人が歌いながら踊っている。 なるほど、妙な歌と躍り(ダンス)だが、見るものを惹き付ける魅力がある。 「見せてくれてどうもありがとう。 君達の世代はこういうものを見るのが好きなのかい?」 男児は 「そうだよ!他にもたくさん面白いYouTuberがいるんだ! 僕、1人の時はよくYouTubeを見てるんだ」 と教えてくれた。 + 私は早速、次の日に携帯電話販売店(ケータイショップ)を訪れた。  今までは簡単スマフォを所持していたが、この眼鏡チェーンがあれば普通のスマフォも使いこなせるはずだ。 「簡単スマホから乗り換えられるということですが、操作方法はお分かりになりますか?」 店員(スタッフ)が心配そうに訊ねてきたが、 「ええ、大丈夫ですよ。最近、心強い味方(眼鏡チェーン)が出来たんでね」 と、私は笑った。
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