3人が本棚に入れています
本棚に追加
「いつもありがとうね。無人レジが導入されてからもう毎回珍紛漢紛でね」
笑ったつもりだったが泣き笑いになっていたかもしれない。
「いいえ、お困りでしたらいつでも呼んでくださいね」
そう言うと、真理ちゃんはサービスカウンターに戻っていった。
妻に先立たれ、一人暮らし。
成人して巣立った息子達は実家に寄り付かなくなった。
まだ足腰は丈夫なので、スーパーマーケットやドラッグストアーには足を運ぶのだが、どこもかしこも機械化してしまって年寄りにはキツい。
無人レジは勿論、駅の切符を買うのにも一苦労だ。
後10年もすればお迎えが来るのだろうが、それまではこの世で肩身の狭い思いをしながら暮らしていかねばならない。
何とも時代の進化とは時に残酷なものだ。
最初のコメントを投稿しよう!