第一話

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 僕は見ているだけで良かったんだ。先輩の事をー 綺麗なフォーム、ゴールを真っ直ぐに見ている瞳、軽やかに風を切って走る姿は とても感動的だ。 それは涙が出てくる程にー 「すげー速いよな?臼井先輩」 速いけど 僕の目にはスロモーションに見える。 多分、好きすぎて動体視力の働きがそうさせているのだろうと思う。 「さすがだよな。インハイ常連」 インハイ常連どころか 常に優勝候補に入っている。 臼井裕孝先輩の名前は陸上の中では全国的にも有名だ。 「んで、お前は また臼井先輩をモデルにしてる訳?坂上くん?」 「えっ…?いや、えーっと…」 「ほらほら!一年生!口より手を動かして!文化祭に出品する作品は、美術コンクールにも出すんだからね!」 「はーい!部長」
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