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二人の出会いは今から六年前に遡る。レイクは十三歳の時に王都に移住し、そこで最新の医術を学んだ後、二十歳になった時に故郷であるミストヴィルへ戻ってきた。彼は自分の診療所を開設し、そこに患者としてリビラがやってきたのだ。
当時、まだ氷結召喚を上手く使えなかったリビラは、賊との戦いで何度も痛手を負わされていた。レイクはその度に彼女の傷を治療し、彼女が目を覚ますまで傍らに寄り添っていた。
そんなレイクの優しさにリビラは惹かれたのだろう。間もなく二人は交際するようになった。今から五年ほど前のことだ。
聡明な青年医師と、勇敢な水晶魔術師の交際は街の人にも歓迎された。二人が連れ添って歩く姿を見るたび、街の人々は目を細めて呟いたものだ。本当にお似合いね。将来はきっと結婚するのでしょうね。あの二人に子どもができたら、さぞ優秀な子になるに違いないわ――。
レイクが義兄になるかもしれないという想像は、シリカにとっても心地よいものだった。
レイクはいつもシリカに優しく、氷結召喚に失敗してリビラに怒られた時などは、よく診療所に行って慰めてもらっていた。レイクはシリカの話を親身になって聞き、いつか君もリビラのような魔術師になれると励まし、ぽんぽんと頭を叩いてくれた。シリカはその度におまじないをかけられているような気分になり、不思議と気力が戻っていった。落ち込んでいる人を元気にするその力は魔法のようだとシリカは常々思っていた。
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