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シリカとリビラは八歳違いの姉妹だ。シリカが十七歳で、リビラが二十五歳。
リビラは昔から姉御肌で、困った人を見ると放っておけない性分だった。だから彼女は街の人のために自らの魔力を惜しみなく使った。
リビラの力は水を操るもので、主に水の凍結に使われていた。凍結させた水の使い方は様々で、井戸の水を各家の台所まで運んだり、雨水を生活用水として利用したり、運河の水を運んで旱魃した土地を潤したりした。
リビラの魔力は街の人から大変重宝され、彼女が力を使うたび、人々は神様でも崇めるように彼女に平身低頭して感謝した。だからリビラは街のみんなに慕われていて、老若男女を問わず多くの人が彼女の周りに集まっていた。
そんなリビラが『水晶魔術師』として拝命を受けたのが今から七年前のことだ。
シリカはリビラと一緒に王都に行き、リビラが国王に拝謁する瞬間に立ち会った。王座の前に跪いて国王を見上げるリビラの顔は誇りに満ちていて、シリカは姉の姿を見つめながら、自分が国王の前に出たかのような誇らしさを感じたのだった。
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