夜の友に相応しい

4/6
前へ
/8ページ
次へ
 初めて本当に彼を抱いたのは、それから一ヶ月した夜中だった。  夕方ごろ、交換したきりの連絡先から、突然ふらっとただ一言 「行ってもいいですか」  と、愛想もへったくれもないメッセージが送られて来たから思わず笑ってしまった。無愛想なそれは、どこか気まずそうでもあって、可愛げがある。笑夜はちょっと面白がっていて、わざと返信を一時間遅らせてみることにした。 「すみません、やっぱ大丈夫です」  続けてそんな通知が来たところで、笑夜はようやく指を動かす。 「いいの? 僕はいつでも待つけど」  口元が、知らず微笑んでいた。面白い奴、可愛い奴。そんな新しい玩具を、すでに気に入り始めていた。  既読はついたのに返信が来ない。二分ほど待って、まぁいいかとスマホを手放した瞬間、スマホが震えた。 「行きます」  それだけ。それだけの返信に、二分待ったのが、馬鹿馬鹿しくてやけに面白かった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加