クラップ×クラップ

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*  順風満帆な人生、だが当然波はある。 「ぎゃああああ」 「ぶーん! ぶーん!」  二歳差の育児恐るべし。第二子を授かり、夫婦仲は良好とまではいかなくなった。友人や、両親のアドバイスを得て妻に代わって子育てをする日を毎週つくったらさあ大変。 年齢的に仕事も責任が増え、休日は子育て。なんともない、もちろん大変だけど意味の分からないクレーマーに比べたらかわいいもんさ。と言い聞かせる。 妻が帰ってくるまであと1時間、ママと泣きはじめる上の子、やっと寝たのにつられて起きた腕の中の赤ん坊。ふと自室の本棚を思い浮かべる。 ああ、途中までしか読めていない小説はどこかな。内容も忘れてしまった。一人で読書する、それすらも難しい。そう思うと独身の頃はよかったな。全部自分の時間、場所、スピード。妻もこんな気持ちだったのだろう。  このとき僕は相当精神的に参っていた。だから本心だったのかどうかも分からない。 「はあ、一人になりたい」  どうしてこんなことを口走ってしまったんだろう。 クラップクラップ、拍手が二回。次の瞬間、僕は一人になった。散らかったまま、やけに静かなリビングに一人、ぽつんと座っていた。
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