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クラップクラップ、しわしわの手から奏でられる拍手は二回。僕は文鳥になる。
急に大きく見えるオジサンの足、窓から降りそそぐ光のカーテン、新しい色をたくさん知った。部屋の中はガランとしていていつもよりずっと広く感じる。文鳥になったとき、僕は指の腹で頭をかいてもらう。これが気持ちいいのだ。「チチッ」と鳴けば、もう一度クラップクラップ。小学生の僕に戻った。
「最後に何か、なりたいものはないかい?」
長い座布団に二人で座り、ペットボトルのお茶を飲んだ。オジサンは明日、遠くへ引っ越す。別に親戚じゃない。
たまたま……ううん、夏休みにどこにも連れていってもらえなくて、イライラして投げたボールがオジサンの家に入らなければ僕はオジサンと会えなかった。こんなに仲良くなったのに、オジサンがどこまで行っちゃうのかは分からない。
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