母の中へは戻れない

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
何かにすっぽり包まれると安心できる 時計の針の音も 心臓の音も 変に意識さえしなければ聞こえてはこない 奇妙な静けさの中に わたしの息づかいだけが聞こえている 肺で呼吸をしている 母の腹へ戻ってしまいたいとは思わない わたしは個として生き始めたからだ 本当はすっかりここから抜け出して 誰かと笑ってみたいからだ
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!