母の中へは戻れない

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何かにすっぽり包まれると安心できる 時計の針の音も 心臓の音も 変に意識さえしなければ聞こえてはこない 奇妙な静けさの中に わたしの息づかいだけが聞こえている 肺で呼吸をしている 母の腹へ戻ってしまいたいとは思わない わたしは個として生き始めたからだ 本当はすっかりここから抜け出して 誰かと笑ってみたいからだ
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