タイムリープ、通学路

8/8
前へ
/8ページ
次へ
 夢の中で最後に、空は私に言った。 『絢音は何も悪くないからね』と。  夢の中の私は何のことかわかっていなかったけど、今ならわかる。  空の優しさが溢れている。  出来ることなら、私もあの日にタイムリープして空を救いたい。そう何度思ったことか。  でも、それは叶わぬ夢の話。時間は巻き戻せないし、繰り返しもしない。  一定方向に進んでいくだけ。  辛いよ、悲しいよ、空。  なんでもういないのよ。もう一度会いたいよ。  唇を噛んで必死に涙を堪えた。  代わりに空を見上げる。上空はやっぱり青く澄んでいて、空らしいなと思った。  いつも明るくて、みんなを笑顔にさせていた空。  ありがとう。あなたはいつまでも私の親友だよ。  そう心の中で伝えながら、私は手を合わせた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加